【日記】地方在住SEの転職活動記録
2023年3月末で10ン年勤めた現職を退職しました。転職し、4月から新しい勤め先になります。せっかくなので転職活動記を残しておこうと思います。
目次
記事にする目的
華々しい経歴やスキルがあるわけでもないですが、何故記事として残すかというと、今現在の自分の考えを形にしておきたいと思ったからです。新しい職場でも大なり小なり不満は出るでしょうし、すべて順風満帆とはいかないでしょうが、「自分の意志で転職した」と後から見直せる記録を残しておけば、やる気のカンフル剤にできるのではないかと考えています。
なのでこの記事は自分のために書いており、転職を推奨する、といった意図からは外れたものなので、読む方は参考程度に。
著者の経歴
ざっくりと著者のスペック。
- 年齢:30代半ば
- 世帯構成:独身、地元から離れて賃貸一人暮らし
- 勤務場所:北関東
- 職種・職歴:製造業(東証P)のIT部門
システムの導入から運用まで、事業会社の社内SE・情シスとして必要なことを浅く広く
転職理由
転職を考えた理由は2つあります。
慢心
その年(2023年)の春のIPA試験で、応用情報技術者(AP)に合格しました。
世間的にはそれなりに難しい分類(合格率20~25%ぐらい)の資格なので、合格通知が来たときはうれしかったです。「エンジニアに資格なんて不要、実務経験が全て」という意見もあり私も同意するところではありますが、それでもAP資格はそれなりの知識の保障になります。「ほーん、ITのことは最低限できる奴なんだな」とみられるので、客観的な評価基準で自分の立ち位置を知ることができました。
これで「ひょっとして自分って結構優秀な人間なんじゃないか・・・?」と勘違い(慢心)し、もっと上のレベルの仕事ができるんじゃないか、給与も上げられるのではないか、と考えたことが要因の一つです。
不安
社内SEをずっと続けていますが、近年は部署の役割変更もあって運用系(ユーザーサポートとか導入済みシステムの管理)の仕事が多く、具体的なキャリアの実績になる仕事に関われていませんでした。「もしも今の会社をクビになったときに、この経歴・経験をもって転職市場でやっていけるのか」と考えると、漠然と不安になってきました。それなりの会社なので急にクビになることはないんですが、まあ人生何が起きるのかわからないので・・・。
運用系の仕事はけっこう楽しい(ユーザーに近いからトラブル解決で感謝される、取り組む規模が小さいので仕事がすぐに済んで”お手軽な達成感”が得やすい)のがまた問題で、このままぬるく続ける分には不満は無いのですが、上記の不安と年齢的なリミットもあったので、新しい環境で新しい経験を積む必要があるんじゃないかと考えるようになりました。
ということで、「絶対に転職したいというほど大きな不満はないけど、良い求人があれば」というぐらいの気持ちで転職活動を始めました。
転職サイト登録、エントリー
とはなったものの何をすればいいのかさっぱり。リファラルで声をかけてもらえるほどの人脈もスキルもありません。とりあえず情報を貰えるように転職サイトへ登録します。
転職要件はけっこう厳しい
サイト登録時に希望条件をまとめました。
- SEか情シス
今の仕事内容に不満は無く、AP資格や経験も生かしたいため、情報系エンジニア(上流工程)を希望。 - 県内勤務で引っ越し不要
実家に戻ることも考えましたが現在の環境に大きな不満は無いので、引っ越しせずに通勤できる職場で。リモートワークはあまり肌に合わないのでフルリモート勤務企業は対象外。 - 給与・待遇は現職同レベルで
上を見れるほどの能力はないですが下げたくもないので、とりあえず最低限は同条件で。
登録にあたって要件をまとめましたが、個別には満たしていても全部をそろった条件のものは少なそうです。とくに「地方でエンジニア・情シス」というのがネックです。同職種の勤務場所はどうしても首都圏、だいたい本社勤務ですからね・・・。
エージェントから大量の連絡が
登録した直後から大小の転職エージェント企業から連絡が来ました。「まずお話聞かせてください」というものが、それはもう大量に。転職エージェントって儲かるのねと実感・・・。
いくつかコンタクトしてきたエージェントとWEB面談で話をしましたが、上記要件を伝えると渋い顔が返ってきました。さすがに条件が限定的すぎるか?ただ逆に、同条件で転職活動をしている求職者も少ないようで、条件に合致する求人であれば競争倍率は低そうです。少ないながらも何件かは紹介がもらえたので、良さそうと思ったところは積極的にエントリーして選考を進めながら厳選していくこととしました。
普通は何社かのエージェントと並行してやり取りを進めるのが良いのでしょうが、条件が限定的過ぎてどこも持ってくる案件はほぼ同じだったので、やり取りするエージェントは大手の1社に絞り、担当者に言われるままに履歴書やエントリーシートを書いて、添削や模擬面接をやってもらいました。「転職活動何をすればいいかわからん状態」の受け身のサラリーマンである自分にとって手取り足取りで案内してくれる大手エージェントは合っていました。
いくつかエントリー、選考準備
ある程度履歴書を煮詰めたところでいくつかの求人へ応募送付。メーカーだったり商社だったり、ローカル本社企業だったり大手子会社だったり地方拠点・工場だったり。業種はあまり考慮せず、職種と給与額・労働条件があっていそうなところで3,4件ほど応募しました。
転職は内定が出てから回答までの時間が短い(内定を受諾するかすぐに回答する必要があり、長期間待ってくれない)ので、選考が同じタイミングで終わるように日程を調整しながら進めていくことになります。
エージェント経由のおかげか、書類選考で落ちることは無く応募先は全て面接に進むことができました。
選考と面接
一次選考
昨今の情勢もあって、どの企業も一次面接はWEB形式だったので選考日程を調整し易かったです。平日夜(定時終業後)に連続して2社の面接を受けた日もありました。WEB形式の面接は初めて、しかも10ン年ぶりの就職面接でしたが、事前に転職エージェントと模擬面接を受けていたので特に緊張することなく臨むことができました。
一次面接なのでどの会社も同じような質問(経歴、スキル、志望動機、キャリアビジョン、etc)で、履歴書に書いた内容ベースで回答します。新卒とは違うので当然ですが、「企業ベースでの志望動機」はほぼ突っ込まれることなく「職種ベースでの志望動機」が中心となります。何故現職を辞めるのか、今のスキルをどう活かせるのか、どういうキャリアアップを目指すのか、あたりを矛盾なく答えられれば問題ないでしょう。このあたりは履歴書を書く際にしっかり固めて、よどみなく答えられるようにしておく必要があります。
それと念のため、PCにつけられるリングライトを購入して肌写りは良くなるようにしておきました。顔しか映らないので少しでも第一印象を良くするため、やらないよりはマシということで。
一次面接も選考を受けた企業は全て通過することができました。面接を受ける中で印象が良かった企業や、情シス部門のマネージャー・社員との会話が繋がりやすかった企業に優先順位をつけて二次選考(最終選考)は2社に絞り、それ以外は辞退させてもらいました。
二次選考(最終面接)
二次面接は役員クラスとの対面形式の面接です。勤めながらの日程調整および各企業の選考日を極力近づける必要があるので、一次面接ほどはすんなり決まらずに後ろ倒しになりました。それまでの時間は面接での答弁練習、現職でのスキルやエピソードの言語化に努めていました。二次面接(役員相手)用の答弁などは考えず、基本的には一次面接で言ったことと変わらない内容で考えをまとめていきます。この段階で取り繕ったり変に誇張するとボロが出ると思うので、話す内容は一貫したものとし、具体的なエピソードや実績を会話の枝葉として脳内にストックしておき、質問された時の具体例としてこたえられるようにしておきました。この辺りは一次面接前もやっていましたが、より深化させておきました。
それと面接までの期間に、社会人歴に見合った服装になるように久しぶりにスーツ一式を作り直しました。カバンや靴も見られると思ったのでそれなり(自己満足で自信と余裕につながるように)のものを。
最終面接、1社は定時終業後、もう1社は平日に有給を取得して。
多少緊張して言い詰まるところもありましたが、失礼のない範囲で答えられたと思います。2社とも、一次面接で出た話をより突っ込んで聞いてくるもので、一次面接と同じ内容で明朗快活に答えれば問題ないかと思います。最終面接で落ちるならそもそもマッチングしなかった、入社してもお互い不幸になっている、と考えて気楽にのぞむくらいでいいでしょう。
幸い、2社とも早々に内定の連絡を貰うことができました。2社のうち、面接の中で技術的な会話が盛り上がり、現社よりも待遇的に良い条件だった方の企業の内定を受諾することになりました。
転職活動を終えて
感想
以上、転職サイトに登録してから約2か月で活動を終えることができました。世の中の平均か、少し早いぐらい。転職経験が無いこと(すぐに退職しなさそうだと思われたこと)、履歴書に具体的に記載できる資格や経験があったこと、企画や導入などのシステム開発の上流工程に関わりたいことを一貫して説明できたこと、あたりが勝因でしょうか。親しい友人やエージェントに相談しつつ、大きな不安や挫折なく進められたのは幸運だったと思います。
転職活動を通して、自信と不安、両方の実感を得られました。即ち、「転職できるだけの知識とスキルを身につけられた」という自信と、「自分程度でも転職できる=もっと有能な人が入ってくるとすぐに追い出される」という不安です。今の決心を忘れるべからず、食っていける程度には勤労勤勉に努めたいと思います。
地方在住SEの転職まとめ
地方でのSE・情シスの転職について、ざっとまとめます。
- 地方SEの求人は少ないけど応募も少ない
前述しましたが、それなりな企業の情シス部門はほぼ本社(東京・大阪)にあるため、地方での募集は少ないです。同時に、応募も少ないようなので倍率も低め、実績が十分ならライバルは少なく、通過はし易いでしょう。
大企業の工場・開発拠点のSE・情シスを募集している求人も見かけたので、待遇面では良い案件かと思われます。この場合は拠点内のIT全般の御守も業務に含まれてくるので、とくにネットワーク系が強いと引く手が多そうだと感じました。
ただし「最新のITトレンドを吸収・発揮しながら華々しく仕事をする」みたいなのは地方には全く無く、普通のサラリーマンな働き方になると思うので、都内企業からUターンで転職を考えている方は要注意です。 - 転職エージェントは使いよう
これも前述ですが、あれこれと指示してくれる転職エージェントは、サラリーマンな自分には合っていました。
上記の通り、地方では募集をかけても応募数が少ないため、他の地域やUターン・Iターンの求職者を引っ張ってくる際にエージェントに依頼することが多いようです。企業側とエージェント側の業務上のつながりは強いため、そのエージェントを通すと選考も通りやすい気がします。
事細かに指示されるのが苦手な人もいると思うので、使いようということで。 - 履歴書に書ける資格か具体的な実績を作る
自分の転職活動はAP資格を中心に、過去に導入したシステムや開発実績を並べて、「システム全般やってきたので一通りのことはできますよ、でも今後は専門性を高めていきたいですよ」というPRで履歴書と面接答弁をまとめました。
システム運用やサービスデスクのみだとあまりウケが良くないので、それしか実績が無い人は資格を取って、将来性と向上意欲をアピールすればいいかと思います。