【医療】ICL眼内コンタクトレンズ手術を受けた記録

2021年2月1日にICL(眼内コンタクトレンズ挿入)手術を受けて、8月で6ヵ月が経過した。
その後の経過も問題ないので、受けるまでの経緯と手術、術後の経過をまとめる。
興味がある人の参考になれば幸い。

ICLとは?

ざっくり簡単に言うと、眼球の中にコンタクトレンズを入れて近視を矯正する医療手術のこと。

  • メンテナンスフリー
  • 問題時にはレンズを抜きとれる
  • 眼球・表面のかたちは変わらないのでレーシックにある「近視の戻り」が無い
  • 自由診療なので手術費は高額(現時点で40万円~)

あたり。
まあこの辺は一般人なので詳細は割愛。メリットばかりではないので、そこは注意。よく調べること。

術前の状態

高校あたりから近視が進行し、眼鏡を使い始めた。
成人後の視力は0.1前後、-3.5D程度の眼鏡を使用し、乱視は無し。
自宅での家事炊事程度なら眼鏡無しでなんとか出来るが、それ以外は日常的に眼鏡を使用し、週末・休日はワンデーのコンタクトレンズを使っている状態だった。
スポーツ時にはおもに度入りサングラスを使用していた。

手術を受けた理由

  • コロナ禍でマスク生活が続き、眼鏡が曇るのが煩わしかった
  • 周りで受ける人が増えて影響された
  • 運動時に眼鏡が汚れたり曇ったりするのがストレスだった。24時間以上連続して行うこともあり、ドライアイ気味なのも相まってコンタクトを長時間使うのは難しかった。また出先で眼鏡が壊れるリスクもあった。
  • レーシックは、不可逆性とドライアイ悪化の可能性を考えると許容できなかったが、切開範囲が狭いICLなら、よりリスクが小さいと考えた。
  • 5年ほど使用した度入りサングラスが経年劣化で寿命だった。レンズだけでも3,4万円するので、今後作り直し続けるコストを考えると、ICL手術費用はペイできると考えた。

手術を受けるまで

事前調査・病院選び

近年ICLを受けたことを公言する著名人が増えたこともあり、インターネット上での情報も新しいものが多い。内容は賛否両論、玉石混交、ステマもある。素人なりに納得いくまで調べた。

実施している病院も何件か回って(無料説明会を実施しているところが多い)、以下の要件で病院を決めた。

  • 家から比較的近かった。公共交通機関で往来できる場所にあった。
  • 近視矯正専門でなく普通の総合眼科だった。ICL手術は白内障手術に似ており(どちらも眼球内にレンズを埋め込み、固定する手術)、それの施術件数が多いのは一つの指標になると思った。また何か不具合あったときの診察のために、総合眼科の方が安心できた。
  • 院長が自分と同様の理由(おもに長時間長距離スポーツのため)でICLを受けており、実体験としての話を聞くことができた

手術当日まで

予約

11月に電話で予約を入れて、2週間後に検査することに。
電話口で年齢・職業・居住地・眼鏡コンタクトの使用状況などを聞かれ、また検査までの2週間はコンタクトレンズを使わないよう指示があった。
(眼球の形状が変わり、正確な検査ができないため)

検査(1回目)

視力や眼底や眼圧など、2~3時間ぐらいで8種類ぐらいの検査を受けて、その後診察。
施術にあたっての適合は問題なかった。この時点ではまだ決定ではないので、2週間後の再検査を予約し、手術を受ける場合はその日まで決めておいてくださいとのこと。説明資料や同意書を受け取って終了となった。
この日の検査は全て保険範囲なので、当日の支払いは4000円ほど。

検査(2回目)

2週間後の再検査(この時も前回と同様、2週間前からコンタクト禁止)。
受けることを決めていたので同意書にサインして提出して、前回と同様の検査を2時間ほど受けた。
またここでレンズの度数も決めることに。仕事がPC作業中心で、過矯正(過度に視力が出過ぎて、疲れ目や頭痛になる症例)になるのは避けたかったので、1.2ぐらいが出るような度数にしてもらった。半年間はレンズの交換可能だがあまり何度も手術したくないのでここは慎重に。
ちなみに再手術は200件に1回ぐらい、患者にとっては稀だが執刀医にとってはそれなりな頻度で行っているとのこと。
(理由は前述の過矯正、レンズのズレによる乱視矯正の失敗、など)

手術日の予約もここで行った。12月頭の時点で翌年1月まで予約が埋まっていたので、2月頭で手術を予約した。もともと予定があったので2月以降を希望しており問題なかったが、手術日が直近で決められないのは一般眼科のデメリットかもしれない。
(近視矯正専門なら執刀医も多いため、より柔軟に対応できそうな気がする)

ちなみに私の場合は、レンズが既製品で対応できたため支障なかったが、乱視などがあるとレンズが特注となるため、それが造られるまで手術できない場合があるそうだ。そのあたりの可能性も考え、スケジュールには余裕を持っておいた方がいいだろう。
最後に3日前から使用する目薬をもらい、当日までの過ごし方の説明を受けて、資料を受け取った。

またここで手術費用全額を支払い。60万円。ここに半年後までの検査・薬・術後の保護メガネ代が含まれている。

手術当日まで

手術日3日前から処方された目薬を1日4回点眼。この間は市販の目薬は使用禁止だ。コンタクトレンズは当日含めて使用可能らしいが、念の為2週間前から着用しなかった。

手術当日

手術前

当日、手術は午後からなので午前中に風呂とひげ剃りを済ませておいた。
(手術後当日は風呂NG)。

病院に入り待合室へ。
5種類くらいの目薬を定期的に投与されながら瞳孔が開くのを待つ。
開くのに時間がかかったようで、かなりの回数と量を投与された。

その後、患者衣を着せれれて手術室前で待機。
呼ばれてから看護師に案内されて手術室に入った。

手術中

椅子に座り、顔の周りに手術シートを被せてから、器具でまぶたを固定する。
(思い出したのは「時計仕掛けのオレンジ」に出てくるルドヴィコ療法の機械。目を固定するのはあれに近い)
4つの光がついた投光器のようなものを見ておくよう言われる。めっちゃまぶしい。

目を固定してからまた点眼。おそらく麻酔、めっちゃしみる。この手術中で一番痛かったのはこれだった。

ジェルのようなものを塗布されて視界が歪んでから「今からメス入れますよ~」と言われてメスが入ってくる。引っ張られるようなかんじ。

レンズ挿入はすぐに終わり、そのあと位置調整。眼球に張り付いたソフトコンタクトレンズを動かすような感覚だった。

固定が完了するとメスを抜いてジェルを洗い流して片目が終了。だいたい片目7分くらいで、左目も同じ流れで進んで終了。
緊張はしていたが、都度何をしているか説明があるので不安は少なかった。

待合室に戻ってまた点眼されてしばらく待機。30分くらい経ってから状態確認して問題ないとのことで、薬をもらって退院になった。
来院から退院まで2時間ぐらい。

手術後

目薬をしこたま投与したせいで食道に入り、鼻と喉が痛かった。

目は、コンタクトレンズが上まぶたの裏側に入ったような感覚で、両目とも白モヤがかっててほとんど見えなかった。きちんと見えるようになるのかちょっと不安になるも、他に出来ることもないので、帰宅後に目薬3種類と飲み薬を使ってすぐに寝た。

深夜、一度目が覚めると視点は合うようになっており、白モヤは消えていた。感覚的に0.7ぐらいの視力感。目薬を追加した後、二度寝。

手術以降

翌日の起床時から視界はほぼ安定するようになっていた。
以下に感じた症状についてまとめる。

術後経過

視力・焦点

当日は白モヤがかかっている状態で、白内障の症状ってこんな感じなんだろうなーという感想。翌日以降はほぼ問題なし。

眼球の異物感

手術当日はコンタクトレンズを長時間着用して疲れたような感覚。翌日以降はほぼ問題なし。
なお術後の充血・腫れなどはまったく無かった。

ハロー・グレア

ハロー:強い光源の周りにハレーションが見えること
グレア:強い光源がにじむこと

両方とも白内障手術レンズやICLを受けるとレンズの構造上発生する視界異常だが、これについては「慣れる」。2,3日は、夜の外灯などがまぶしく感じられたが、今はそういうもので済ませられるようになった。

目薬のしみ・痛み

術後は3種類の目薬を、1日4回さすよう処方される。消毒系1つと抗炎症ステロイド系2つ、この前者のものがしみて痛い。メスで切開した傷口がまだ開いているのだろう。刃で刺されるような痛みが続いた。目薬1本を使い切る一週間後には傷口がふさがり、痛みはなくなった。

その他

1週間は洗顔(目より上)と洗髪禁止なので、アルコール除菌シートと無水シャンプーで乗り切った。冬なのでなんとかなったが、夏だと辛いと思う。
また術後1週間は寝る時も保護メガネをつけて生活していた。
あと自分には関係なかったが、1週間は酒・タバコも禁止だ。
ほかにも運動も種類によって禁止期間が決まっているため、病院からの説明・資料を確認しておくこと。

術後検査

手術翌日と1週間後に検査を受けた。特に異常なしということで安心。
1週間後の視力で、右1.2・左1.2。最終的に安定するまで1~3か月ほどかかるとのこと。
(これを書いている6ヵ月時点で、右のほうが多少高い時もあるがほぼ同じ状態)


あとは定期的に検査をして経過観察していくとのこと(次回は1か月後)。6か月目の現在でも問題なしで、検査通院はすぐに終了する。今後は1年周期で検査に通うことになる。

視力や健康状態についてはその後特筆する点が無いため、以上とする。

まとめ

術後の生活

受けてからしばらくたつが、眼鏡が無い生活が当たり前になりすぎて、あまり実感がないのが正直なところ。
サングラスを選べる楽しみが増えたことと、雨の日の外出が煩わしくなくなったことぐらい。
逆に、今から眼鏡・コンタクトレンズの運用をやり直せと言われると猛烈にめんどくさく感じるので、やはり受けてよかったのだと思う。
人は、便利になったときは気づかないが、不便になると途端にありがたみを感じるものだ。

総評

結果として私はICL手術を受けて、”現時点では満足している”が、誰にでも勧められるものではないことは、総評をまとめる前に断っておく。

眼鏡・コンタクトレンズで視力を補えるのなら、医学的には健康な眼だ。不必要なメスを入れることによる感染症などのリスクは当然あるし、将来にわたっての長期的・潜在的なリスクの可能性とも付き合っていく必要がある。単純に眼鏡・コンタクトレンズが必要なくなる全面肯定の医療ではなく、メリット・デメリットがあるものだと理解し、自分で納得できるまで調べること。納得できない、リスクを許容できないなら受けない選択もあることを、心にとどめておいてほしい。

そのリスクを受容してでも矯正器具なしで過ごしたい、過ごす必要があるなら、ICL手術は一つの選択肢として提案できるものだろう。

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